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日焼け対策





日焼け対策

正しい日焼け対策

夏の海や山は楽しいですが、油断すると、うっかり日焼けでヒリヒリ…なんて経験はありませんか?紫外線は肌の老化やシミ・しわの原因になりますし、長期的には皮膚がんのリスクにも。今回は皮膚科医の立場から、正しい日焼け対策をご紹介します。

紫外線の種類と肌への影響

肌に有害な紫外線には「UVA」や「UVB」があり、それぞれ特徴が異なります。

紫外線の種類

・UVAの主な影響:UVAは肌の奥まで到達し、日を浴びた数日後から皮膚が黒っぽくなる日焼け(サンタン)の原因となります。また、しみ・しわ・たるみなどの光老化の主な原因もUVAです。皮膚がんの発症にも関与しています。

・UVBの主な影響:UVBは肌表面に強く作用し、赤みが出る日焼け(サンバーン)の主な原因です。また、皮膚がんの発症にもUVBの方が大きく関与します。

ちなみにUVCは地表にはほとんど届かないため、皮膚への悪影響はあまり気にしなくて大丈夫です。UVAとUVBはどちらも肌にとって有害です。夏だけでなく年間通して私たちのいる地表へ降り注ぐため、年間通しての対策が必要です。

日焼け止めの種類

紫外線から肌を守ってくれるグッズはいくつもありますが、特に重要なのは日焼け止めです。そこで、日焼け止めにはどんな種類があるのかを見ていきましょう。日焼け止めには大きく分けて2種類のものがあります。

紫外線吸収剤(有機系/ケミカル)

代表的な成分:メトキシ桂皮酸エチル・パラアミノ安息香酸

紫外線を吸収すると化学反応を起こして熱エネルギーに変換し、肌を守ってくれる日焼け止めです。別名、「有機系」または「ケミカル」とも呼ばれます。遮光性が高く、塗り心地の良いものが多いですが、含まれる成分に対してかぶれや肌荒れを起こしやすいのがデメリットです。

紫外線散乱剤(無機系/ノンケミカル)

代表的な成分:酸化チタン・酸化亜鉛

皮膚の表面で紫外線を散乱・反射することで肌を守る日焼け止めです。別名、「無機系」または「ノンケミカル」とも言います。使用感がベッタリと重く、白浮きしやすいのがデメリットですが、成分の安定性が高いので肌荒れを起こしにくいのがメリットです。その為、敏感肌の方や子供にも使用しやすいです。なお散乱剤の成分は海の中のサンゴ礁を傷つけないため、海に入る際に塗る日焼け止めとしてはこちらがオススメです。

日焼け止めの種類

日焼け止めの強さ

吸収剤でも散乱剤でも、日焼け止めには「SPF」や「PA」の表示があります。

SPFとはUVBを防ぐ効果を表す数字です。SPFは数が大きいほど、より長時間肌を守る効果が期待できます。UVBによる赤み(サンバーン)を防ぐにはSPFが30以上のものが良いとされています。なおSPFは50以上の強さの物も市販されています。

PAはUVAを防ぐ効果を示す指標です。「PA+」のように表記されています。PAには「+」「++」「+++」「++++」の4段階あり、「+」の数が多いほど効果が高いです。

日焼け止めの選び方

次に、日焼け止めを選び方についてもみていきましょう。実際に日焼け止めを選ぶ際のポイントは以下の3つです。

・SPFが30以上:SPF30の日焼け止めを正しく使用すれば、UVBを約97%カットできるといわれています。その為、SPFが30よりも大きい数字のものをオススメします。40、50、50+といったものが市販されています。

・PAが+++以上:UVAにも十分対応するには、PAが+++以上のものが良いでしょう。ただし海外製の製品ではPA表記がない場合があります。「Broad Spectrum」の記載があれば、PAの代わりになると考えてください。

・ウォータープルーフ:汗をかいたり水に入ったりしても、一定時間効果が持続することを意味します。日焼け止めを使用するシーンによっては、ウォータープルーフのものを使用するのが安心です。ただし、洗っても落ちにくいのが難点とも言えます。

日焼け止めの種類

これらを踏まえた上で、吸収剤・散乱剤のどちらにするか、ご自身の肌質や使用するシチュエーションにあわせて、お好みのものを選んでいくと良いでしょう。

日焼け止めの塗り方

この記事を読んでくださっているのは、比較的日焼け対策に熱心な方だと思いますが「一般の方は適量の4分の1程度の量しか日焼け止めを塗れていない」という報告があることをご存知でしょうか?

せっかく自分にあった日焼け止めを選べても、日焼け止めの適切な塗り方や、塗るべき量が間違っていたら十分な効果は期待できませんよね。そこで、環境省がオススメしている塗り方をご紹介します。

顔への塗り方

顔に日焼け止めを塗る際には<額・鼻の上・右頬・左頬・アゴ>の5か所、それぞれに日焼け止めをつけ、丁寧に塗りのばします。それぞれの箇所には、クリームタイプの日焼け止めの場合はパール1粒分の量を、液体タイプの物では1円玉1個分の量を塗布します。顔全体に塗ったら、さらにもう一度同じ量を重ねて塗って下さい。

顔への塗り方

腕や脚への塗り方

まず腕や脚に1本の長い直線を描くように日焼け止めを塗りましょう。手のひらでらせんを描くようにして、均一にムラ無く日焼け止めを伸ばします。これらのステップを腕や脚の表と裏で1回ずつ行えば終了です。

さらに、日焼け止めは2〜3時間ごとに塗り直すのが理想的といわれています。屋外や、室内でも日当たりの良い場所で長時間過ごす場合には特に注意してほしいところです。ただ、頻繁に塗り直すのが難しい方も少なくないと思います。現実的な落とし所は生活リズムによっても異なると思いますが、個人的には最低でも朝と昼の2回くらい塗れると良いのではないかと考えています。

その他の日焼け対策

飲む日焼け止め

最近注目されている「飲む日焼け止め」は、活性酸素を抑えるサプリメントです。体の中から紫外線の影響を和らげてくれる可能性がありますが、「飲む日焼け止めを飲んでおけば、塗る日焼け止めは必要ない」とまでは言えません。

次のようなケースでは、塗るタイプに加えて飲むタイプの日焼け止めを併用すると良いかもしれません。

・肌トラブルがあるため、日焼け止めを塗りにくい

・塗る日焼け止めが流れ落ちやすい(プールや海に入る、大量に汗をかく環境など)

・頻回の塗り直しが難しい

・塗る日焼け止めはバッチリ使用しているが、さらに紫外線防御を追加したい

ただし塗る日焼け止めと飲む日焼け止めを併用した場合の効果については、まだ完全にはわかっていません。飲む日焼け止めを使用する場合は、あくまでも補助的な紫外線対策として捉えるのが良いと思います。

紫外線対策グッズ

・帽子:つばの広いものが◎。

・サングラス:目からの紫外線を防ぎ、白内障予防にも。

・日傘:内側の黒いものだと照り返しをカットできます。

・室内での対策:UVカットのカーテンを使用したり、窓にUVカットのシールを貼ったりすることで、室内に入る紫外線量を減らすことも有効です。

まとめ

今回は日焼け対策に関して、日焼け止めを中心に解説しました。この記事を参考にしていただき、まずはご自身のお肌に合う日焼け止めを見つけましょう!そして、日焼け止めはたくさん塗らないと効果が乏しいです。適切な量を、正しく塗るために役立ててもらえますと幸いです。

Q & A

Q:スプレータイプの日焼け止めってどうなの?

A:FDA(アメリカ食品医薬品局)の調査によると、スプレータイプの日焼け止めも効果的に塗れる剤型であることがわかっています。個人的な意見としても、お化粧の上から日焼け止めを塗り直すのに便利だと思います。ただし顔に塗る際にはあやまって吸い込んでしまわない様、息を止めながら吹きかける、もしくは手に出してから塗るなどの工夫が必要です。

Q:子供にも塗りやすい日焼け止めはありますか?

A:まず日焼け止めの成分に関しては、散乱剤(ノンケミカル)の方が肌に優しいです。ただ、日焼け止めにはアルコールなどの刺激物や、着色料・香料などの添加物が入っていることもあります。刺激に弱いお肌のお子様には、無添加のものを選んであげるのが良いと思います。心配な場合は腕の内側などに少量塗ってみて、数日以内に肌荒れが起きないことを確認してから全身に塗るのが良いでしょう。また、お子様がご自身で日焼け止めを塗るには塗りやすさにも考慮しましょう。ボトル式やポンプ式の日焼け止めは、お子様ご自身でも塗りやすいと思います。

参考文献

・American Academy of Dermatology Association. HOW TO DECODE SUNSCREEN LABELS. viewed 5 April 2022.

・Bech-Thomsen N, et al. Photodermatol Photoimmunol Photomed 1992; 9: 242-4.

・Isedeh P, et al. Photodermatol Photoimmunol Photomed 2013; 29: 55-6.

・Diaz A, et al. Arch Dermatol. 2012 May;148(5):606-12.

・環境省 紫外線環境保健マニュアル2020.