湘南ジンベエ皮膚科

しみ・くすみ・そばかす

しみ・くすみ

「しみ」「くすみ」あるいは「そばかす」は、どれも肌の色が変わって見える状態を指す言葉ですが、実は正式な医学用語ではありません。日常的にしみ・くすみと呼ばれる状態には、医学的にはいくつかの異なる色素変化が含まれます。(そばかすもその一つです)

もちろん、患者さんご自身がしみの種類を正確に見分ける必要はありません。ただ、「しみ・くすみと呼ばれるものにもいくつかのタイプがあり、原因によって治療の選び方が変わる」という点だけ知っておくと安心だと思います。

しみとくすみの違い

では改めて、「しみ」とはなんなのか、そして「くすみ」とはなんなのか、まずはそれぞれ簡単にまとめてみます。

まず結論をシンプルに書くと、

「しみ」=肌の一部が濃い色になる

「くすみ」=肌全体が暗く見える

というイメージです。

具体的には「皮膚のメラニンが増えることで部分的に色が濃くなる病気」を全部まとめて「しみ」と呼び、「肌が本来の明るさや透明感が減り、全体的に暗く・黄色っぽく見える状態」が「くすみ」と呼ばれています。医学的にはくすみに該当する病名はありませんが、乾燥・角質の蓄積・血行不良・紫外線や摩擦によるメラニンの蓄積などが原因として関与するとされています。

しみの種類

くすみは、医学的に「病気」として明確に定義されているものではありません。そのため、ここでは一旦「しみ」に話を絞ってご説明します。

一般的にしみと呼ばれているものは、実は見た目や成り立ちの違いによって、大きく6つのタイプに分けられます。(細かく言えば、さらに他の種類もあります。)それぞれ特徴が異なるため、「どのタイプのしみなのか」を理解することが、治療方法を選ぶうえでとても大切になります。

基本的には、どのしみもメラニンが増えること、あるいはメラニンを作る細胞(メラノサイト)が増えたり、元気になりすぎたりすることが原因と考えられています。このあと、それぞれのしみの特徴を順番に見ていきましょう。

①老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

老人性色素斑は、長年の紫外線曝露による老化現象と言われています(光老化)。日光に当たりやすい顔、手の甲、腕などにできやすく、年齢を重ねるごとに増えていく傾向があります。大きさは数ミリから数センチまで様々です。初期は薄い茶色ですが、徐々に濃くなります。

②肝斑(かんぱん)

肝斑は、30~40代の女性に多く、頬骨のあたりや額、口の周りに左右対称に現れる薄茶色のシミです。輪郭がぼんやりとしているのも特徴です。ホルモンバランスの乱れや紫外線、摩擦などの刺激、さらに遺伝的要因も関わっていると考えられています。刺激を受けると増悪しやすく、治療が難しいシミの一つです。

③PIH/炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)

PIHは、炎症を起こした皮膚にメラニンが過剰に産生・沈着することで生じます。ニキビ、虫刺され、軽いやけど、摩擦など、様々な原因で起こる皮膚の炎症が引き金となります。炎症の程度が強いほど、色素沈着も濃く、広範囲になる傾向があります。PIHは時間の経過とともに薄くなることもありますが、完全に消えない場合もあります。

④脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

脂漏性角化症は、加齢とともに増加する良性のイボです。イボは盛り上がった病変のイメージがありますが、脂漏性角化症の初期段階では平坦に近いこともあり、シミとしてご相談いただくことも少なくありません。紫外線や遺伝的要因などが関係していると考えられており、色は肌色から褐色、黒色まで様々で、表面がざらざらしているのが特徴です。

⑤雀卵斑(じゃくらんはん)(=そばかす)

そばかすは、主に遺伝的要因によって生じる小さな茶色い斑点です。鼻や頬などに多く見られ、幼少期から現れることが多いです。紫外線を浴びると濃くなる傾向があり、特に春から夏にかけて色が濃くなります。

⑥ADM/後天性真皮メラノサイトーシス(こうてんせいしんぴメラノサイトーシス)

ADMは、頬骨の高い位置などに左右対称に現れる青みがかった灰色のシミです。20代から40代の女性に多く発症し、紫外線やホルモンの影響が考えられています。その原因は完全には解明されていませんが、真皮と呼ばれる皮膚の少し深い場所にメラノサイト(メラニン色素を作る細胞)が増加して色素を産生することでADMが生じます。

しみ・くすみ治療の代表的な方法

これまでのご説明のように、しみ・くすみの原因や状態はさまざまです。そのため治療法も一つではなく、状態に応じて選び分けたり、組み合わせたりします。

一般的に行われている治療法には、次のようなものがあります。

・外用療法(塗り薬)

ハイドロキノン、トレチノイン、ビタミンC、トラネキサム酸などを使い、メラニンの産生を抑えたり、肌の生まれ変わりを促します。効果はゆっくりですが、日常生活への影響が少なく、基本となる治療です。

・内服療法(飲み薬)

ビタミンC、トラネキサム酸などを内側から補います。

・IPL(光治療)

カメラのフラッシュのような光を照射し、しみ・そばかす・くすみをまとめて改善していく治療です。ダウンタイムが比較的少なく、肌全体のトーンアップも期待できます。

・レーザー治療

特定の色素をピンポイントで破壊する治療です。
効果が高い反面、ダウンタイムや炎症後色素沈着のリスクもあるため、
適応の見極めがとても重要になります。

上記の他にも、イオン導入・エレクトロポレーション・ケミカルピーリング・ドクターズコスメなどもしみ・くすみ治療に用いられます。また同じ治療方法の中でも、使用する機械や薬剤によって効果やダウンタイムに差が出る可能性があります。機器や薬剤は医療機関ごとに異なりますので、詳細については施術を受ける各医療機関へお問い合わせください。

当院で行っている治療について

当院では、しみ・くすみの治療にあたって、お肌の状態を見極めながら、刺激をできるだけ抑えた方法を中心にご提案することを大切にしています。

例えば、肝斑が疑われる場合には、まずは肌に余計な負担をかけないことが何より重要だと考えています。そのため、生活習慣やスキンケアの見直し、体の内側からのアプローチを優先するケースが多くあります。

また、部分的なしみが気になる方、しみ・くすみ・肌質の変化が混在している方など、状態は本当にさまざまです。そうした場合には、外用によるケアや、顔全体のトーンを整える治療などを組み合わせながら、その方に合った方法を検討していきます。

なお、当院ではレーザー治療は行っておりません。ただし、「レーザーがない=選択肢が少ない」ということではなく、肌への負担や日常生活への影響を考えたうえで、有効と考えられる治療の選択肢をご用意しています。

しみの種類や状態によっては、

「今は積極的な治療をしない方がよい」

「まずはスキンケアや紫外線対策を丁寧に行うことが大切」

「当院での治療よりも、他院で可能な治療をご案内した方がよい」

とお伝えすることもあります。

当院が大切にしているのは、肌に過度な負担をかけず、日常生活を大きく変えずに無理なく続けられること、そして費用や治療のゴールも含めて、その方の生活にきちんと合っていることです。

無理に治療を進めることはありません。

その方にとって「なにが一番現実的で安全な治療か」を、一緒に相談しながら決めていく――それが当院のスタンスです。

参考文献

・Paasch U, Zidane M, Baron JM, Bund T, Cappius HJ, Drosner M, Feise K, Fischer T, Gauglitz G, Gerber PA, Grunewald S, Herberger K, Jung A, Karsai S, Kautz G, Philipp C, Schädel D, Seitz AT and Nast A. “S2k guideline: Laser therapy of the skin.” Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft = Journal of the German Society of Dermatology : JDDG 20, no. 9 (2022): 1248-1267.

・Borelli C and Fischer S. “[Chemical peeling for treatment of Melasma, pigmentary disorders and hyperpigmentation : Indications, effectivity and risks].” Der Hautarzt; Zeitschrift fur Dermatologie, Venerologie, und verwandte Gebiete 71, no. 12 (2020): 950-959.

─執筆医師─

達也執筆profire

塩味達也
湘南ジンベエ皮膚科 院長|日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
2013年に埼玉医科大学を卒業後、大学病院・がんセンター・総合病院・地域クリニックで幅広い皮膚科診療に従事。現在は、神奈川県藤沢市・湘南台駅東口すぐの「湘南ジンベエ皮膚科」院長として、地域の皆さまの皮膚科治療に取り組んでいます。
また、医療記事のWebライターとしての執筆経験も豊富で、正確でわかりやすい情報発信を心がけています。

よくあるご質問

しみやくすみの治療に保険は効きますか?
しみ・くすみの治療は基本的に保険がきかず、自費診療になります。治療費用は、治療法やクリニックによって異なります。当院の治療費用に関しましては、料金表ページをご参照ください。
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