ボトックスについて





ボトックス

ボトックスとは?

ボトックスは「ボツリヌス菌」という細菌から作られるタンパク質(A型ボツリヌス毒素)を、医療用に安全に精製した注射薬です。

この薬は、筋肉と神経のつなぎ目に作用して、神経から出る“アセチルコリン”という物質の放出を一時的に抑える働きがあります。その結果、筋肉の動きがゆるやかになり、表情の動きによってできるシワ(いわゆる「表情ジワ」)が目立ちにくくなります。

こうした仕組みを活かして、ボトックスは表情ジワをやわらげる治療として使われています。

また、アセチルコリンは筋肉以外にも関わっているため、ボトックスは多汗症や過活動膀胱などの治療にも応用されています。

効果のあらわれ方と持続期間

注射後2~3日ほどで少しずつ効果が現れはじめ、2週間ほどでピークに達します。効果は3〜6ヶ月程度持続しますが、個人差があります。

効果が薄れてきたタイミングで再度施術することで、自然な表情を保ちながら、継続的な効果の維持を目指すのが理想的です。

施術後の注意点

施術後は以下の点に注意してください:

・注射部位を強くこすらない・マッサージしない
 製剤が広がることで、意図しない部位に効果が出る恐れがあります。

・当日の激しい運動・飲酒・入浴は控える(シャワーは可)
 体温上昇により、ボトックスの効果が弱まる可能性があります。

・起こりうる副作用について
 一時的に腫れ・赤み・内出血が出ることがありますが、多くは数日でおさまります。
 また注射後、表情に左右差が出たり、部位特有の変化(例:額→まぶたが重い、エラ→噛みにくい)が出ることがありますが、3〜6ヶ月ほどで自然に戻ることが期待されます。

・避妊について
 妊娠中・授乳中の安全性は確立していません。明確な基準はないものの、注射後1〜2ヶ月は妊娠を避けるよう指導されることが多いです。中にはより万全を期すために、3ヶ月ほどの避妊指導をする先生もいらっしゃるようです。

まとめ

ボトックス治療は、表情ジワをやわらげる選択肢のひとつです。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

現在、ボツリヌス治療に使われる製剤はいくつかのメーカーから出ていますが、当院ではアラガン社製「ボトックスビスタ®」を採用しています。これは、厚生労働省に承認(2025年7月現在)されたA型ボツリヌス毒素製剤で、不純物を可能な限り取り除いた構造のため、抗体ができにくく、効果が持続しやすいとされています。

参考文献

・de Maio M, et al. Facial Assessment and Injection Guide for Botulinum Toxin and Injectable Hyaluronic Acid Fillers: Focus on the Midface. Plast Reconstr Surg. 2017;140(4):540e-550e.

・Turkel CC, et al. Treatment of chronic migraine with Botox (onabotulinumtoxinA): Development, insights, and impact. Medicine. 2023;102(S1):e32600.


湘南ジンベエ皮膚科